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ときめくゴリラの落書き帳

magoss.exblog.jp

退社後アルコールタイム(TAT)まゴのブログ。雑記や告知、ときめきメモリアル等のSS。Twitter:@magorial

プロローグ 〜初めての挫折〜【前編】

龍光寺カイ。

県内でも平穏さでは上位だと言われるきらめき市において
彼女の名はあまりにも有名だった。
有名、といっても、それはどちらかといえば、悪名高い方の意味ではあるのだが・・・。

「あ゛ぁん?もっぺん言ってみろお前!!」
きらめき市民の散歩道として愛される河川敷公園に、
龍光寺カイの鋭い声が響き渡る。
向けられた『眼力』の相手は隣町の不良グループ。男3人だ。

「女だからって手加減すると思うなよ、この野郎!!」
男3人が彼女目がけて乾いた地面を蹴る。
不敵な笑みを浮かべながら龍光寺カイはそれに対峙した。

鈍い打撃音が数回。
少し遅れて聞こえるのは、やはり、低いうめき声だ。
龍光寺カイはいつもそうだ。
いとも簡単に、男たちを熨してしまう。

彼女は私立きらめき高校の2年生。
入学当時から授業の出席率は悪く、1年の1学期にして
他学年を担当している教師ですら、彼女の名前を知らない者はいなかった。
1時間目の授業から彼女の姿を見た日には、
あまりの珍しさに何か企んでいるのではないかと不安がる教師がいたほどだ。
ただ、その一方で、テストでは毎回上位の成績を収めるものだから、
誰も文句は言えないのだった。いや、言わなくて済む・・・と表現すべきか。

それに、教師が彼女に対して文句を言えないことにはもう一つ理由があった。
龍光寺カイは圧倒的な眼力を持ち、外部からの接触を許さないことはもちろんのこと、
それ以上に、この手のキャラとしては月並みかもしれないが、とても美しかったのだ。

彼女に言いがかりをつける不良連中にも、その美貌に目がくらむ者もいるようで、
自分の存在を龍光寺カイに気付かせたいという理由で喧嘩を挑む者も少なくないらしい。
だが、彼女にとってはそんな浮いた話はどこ吹く風。鋭い目付きのまま、殴り、蹴り倒す。
いつからか、彼女には不名誉な通り名がつけられていた。

『暴力に魅せられた女神』

女神のような美しい風貌のまま、喧嘩に明け暮れる日々なのだ。
どこまでも美しく、そして、強かった。



そんな彼女に、初めて膝をつかせる相手が現れるなんてことを、
この時はまだ彼女自身も想像できてはいなかった。



〜後編へ〜
by mago_ss | 2010-10-03 01:47 | ときめきメモリアル4

by mago_ss